ブリュワリー紹介『North Coast / ノースコースト』

North Coast Brewing Company / ノースコーストブリューイングカンパニー

創業：1988年

拠点：カリフォルニア州フォート・ブラッグ（Fort Bragg, California）

高名なワインの産地としてナパ・バレーと並び称されるメンドシーノ（Mendocino）エリアを海岸沿いに北へ進むと、North Coast Brewingの醸造所があるフォート・ブラッグに辿り着きます。

豊かな自然が自慢の地域で、内陸側はセコイアの木々が生い茂り、古くは林業が盛んだったのも頷けます。海にはアシカやトド、コククジラなどの海洋生物が多く生息しており、また、シーグラス（波や海流に揉まれることで独特の風合いが生まれたガラス片）が大量に流れ着くことで知られるグラス・ビーチもあり、これらの名物を目当てに多くの観光客が訪れます。

North Coast Brewingは元々地元住民のための憩いの場、ブリューパブ（醸造所併設パブ）として、1988年、マーク・ルードリッチ（Mark Ruedrich）により創立されました。現在のクラフトビールムーブメントの先駆けとなったブリュワリーの一つでもあります。

2017年時点での醸造量は6万5千バレル（約7,583㎘）と規模は小さめ（Sierra Nevada Brewingは125万バレル）ながら、これまでに国内外のビール品評会で累計70以上の賞を獲得している、確固たる実力を持つブリュワリーです。

中でも、Red Seal AleとAcme IPA、Old Rasputin Imperial Stoutの3銘柄で、総受賞数の半分以上を占めています。

現在は、通年で販売している13種類の定番商品に加え、季節限定のサワーエール、バレルエイジ（ワインや蒸留酒の樽で熟成させること）されたビールを含め計17種類のビールを製造しています。アメリカの48の州に流通しており、ヨーロッパ、そして日本にも輸出されています。

North Coast Brewingはただビールを造り売るだけではありません。社会貢献に並々ならぬ関心を持っており、それを実際に行動に移すことで証明しています。

North Coast Brewingは、自然環境や文化の保護、食の安全の保証などに対する企業姿勢と活動を包括するブリュワリー独自の構想として「The One Pint at a Time」を掲げています。

「B Corporation」という、厳しい基準をクリアし、社会や環境へ配慮した活動が認められた企業のみに与えられる認証を取得している他、醸造残渣である使用済み穀物やホップの堆肥化、GMO（遺伝子組換え作物）不使用認証の取得、醸造における太陽光エネルギーの利用など、活動は多岐にわたります。彼らのホームページでは年度毎のSastainability Reportが公開されており、B Corporationとしてのスコアや、その年の活動内容を知ることができます。

また、「The One Pint at a Time」の一環で、一部の定番商品の売上の一部を機関や団体に寄付しています。

North Coast Steller IPAの売上の一部は、海洋研究や海洋哺乳類の調査・保護活動を行っている機関へ、Brother Theloniousについては、モントレージャズフェスティバルのジャズ教育プログラムへ寄付されています。North Coast Brewingは熱心なジャズ愛好ブリュワリーとしても知られています。