やんちゃなビーバーのロゴでお馴染みの「Belching Beaver (ベルチングビーバー)」。


今回、ブリューマスターのトロイ・スミスさんにインタビューを敢行。


ベルチングビーバーを立ち上げた経緯や他のブリュワリーとの違い、もちろん彼ら自慢のビールのことなど、たくさん話をしてくれました!

インタビュー内容

Q. 自己紹介をお願いします!


みなさんこんにちは。トロイ・スミスです。

Belching Beaverのブリューマスターとして、 9年間ここでビール造りをしています。

僕は創業メンバーでもあるので、 Belching Beaverも今年で9周年を迎えるということだね。

トムとデイブと僕の3人で一緒に創業したんだ。

その前は、同じくサンディエゴで自分の家族が経営するCoronado Brewingでビールを造っていたんだ。

一緒に創業したトムは昔のルームメイトとつながりがあって、ある夜3人で集まってポーカーをしていたんだけど、

その時にトムから「実はブリュワリーを始めたいと思ってるんだよねー」って相談されたんだ。

もともと自分も家族経営は難しいと感じていた時期だったのと、親の仕事を継ぐよりも自分でブリュワリーを始めるという新しい挑戦にとても魅力を感じたんだ。

そんな感じで、2012年Belching Beaverの歴史がスタートしたんだよ。

Q. Belching Beaverと他のブリュワリーの違いは?


いろいろなところに違いはあると思うけど、特に新しいことへのチャンレンジに躊躇しないところかな。

例えば、アメリカでハードセルツァーの大ブームが始まったときに、

多くのクラフトブリュワリーが動こうとしない中、僕らは先駆者としてクラフトセルツァーを造りはじめたんだよ。

それじゃあ、今日の一杯目はこのハードセルツァーではじめさせてもらうよ。

アメリカはもう夕方だから飲んじゃうよ~!

一般に流通しているハードセルツァーが透明なのに対して僕らのは濁ってるんだ。

これは、自然の味わいが感じられるよう100%本物のフルーツを使うなど、クラフトなアプローチで造っているからなんだ。

こんな感じで、僕らは他と違うことをすることをまったく恐れてないんだよ。

ピーナッツバターミルクスタウトもそうだよね。

もちろん、新しいことをすると失敗もするけど、「ビールの神様」にお祈りして成功を祈るんだ。

あと、Belching Beaverで働くブリュワーがいつも新しいことや違ったことに挑戦できるような環境をつくるよう意識しているよ。

Q. アメリカのハードセルツァー市場は今どんな感じ?


一言でいえばクレイジーかな。

アメリカでも最も大きなクラフトブリュワリーの一つであるSamuel Adamsも、ハードセルツァーに集中してきているよね。

あとは、もちろん市場で最も大きいのWhite Clawだね。

この2ブランドが80%のシェアを持っていて、残りの20%がクラフトセルツァーって感じかな。

私たちもこの小さいパイの中では規模のわりにかなりうまくやっていると思うよ。

やっぱり、飲んだお客様には味わいがしっかりしていておいしい!って言われています。

大手のハードセルツァーのように、ちょっとスイカやイチゴの味がわずかにする透明の液体とは一味違うし、

なにより僕らのセルツァーの中身は「本物」だからね。そこが他社との違いだよ。

Q. Belching Beaverで一番人気のビールは?


ここには持ってきていないんだけど、今着ているTシャツに描かれている"Phantom Bride”だね。

これは有名ロックバンドのDeftonesとのコラボビールなんだけど、

Deftonesとコネクションのある関係者経由でコラボレーションできないかって連絡してきてくれたんだ。

もともとは違うブリュワリーとコラボするつもりだったらしいんだけど、Belching Beaverで造ろうってなったみたいで。

そこから始まった最初のコラボビールがPhantom Brideってわけ。

彼らは超有名だし、ロックミュージシャンだし、すごいことだよね。

彼らは本当にビールが好きで、商品開発にもしっかり入り込んでくるんだ。

ボーカルのChinoは実際に醸造現場まで足を運んで好きなホップを言ってくるんだよ。

彼らは本物のクラフトビールドリンカーで、マーケティングやPRのためのただのコラボとは違うよ。

最近のDeftonesとのコラボビールは、完全に彼らが引っ張って進めてくれているよ。

彼らがHazy Double IPAをやりたいと言えば、私たちはホップのサンプルを送って彼らにどれがいいか決めてもらったりしているんだ。

で、どれとどれを合わせたら最高のビールになるのかって話をするんだ。

今度秋に日本にも来る最新のDeftonesコラボビール("Ceremony"のこと)の「次」のビールについては、、このことはまだ誰も知らない話なんだけど、

彼らとはこれまでもうあらゆるタイプのIPAを造ったので、これまでとはまったく違った新しいものになる予定だよ!

Q. 大人気商品の”Peanut Butter Milk Stout” についても教えて!


僕らのビールの中では、2番目に売れているビールだよ。スタウトがベストセラーってすごく珍しいよね。

確か2010年にデンバーで開催された"Craft Brewers Conference"に行ったときに、

その時はまだCoronadoの一員だったんだったけど、とあるブリュワリーですごく美味しいミルクスタウトを飲む機会があったんだ。

それに超感動して、自分たちもこんなスタウトを造ってみたいと思って造り始めたんだよ。

Belching Beaverの創業時、最初に5つのビールを造ったんだけど、ミルクスタウトもその一つだったよ。

僕らは市場に流通しているスタウトとは一味違うものを造りたいと思っていたんだ。

だからアルコール度数は高めで、チョコレートやコーヒーの味わいがしっかりとある、ビールを造ることにしたんだ。

後味がクリーミーになるように、乳糖も追加したよ。

で、とある金曜日に2ケグ分のピーナッツバター味のミルクスタウトをタップルームで売りはじめたんだけど、

さっそく週末には、「すばらしい!!もっと造って!」と電話がきてさ(笑)。

そこから、生産量も加速度的にどんどん増えていったんだ。

ミルクスタウトしか醸造しない時期もあったんじゃないかな。

結局「Belching BeaverといえばPeanut Butter Milk Stout」というくらいの代表作になったね。

Phantom Brideも素晴らしいIPAだけど、まだPeanut Butter Milk Stoutほどの認知度はないかな。

このビールのおかげで今の自分たちがあると言っても過言ではないよ。

Q. 本当にビーナッツバターを使っているの?


いや、本当のピーナッツバターは使ってはいないよ。

自然由来のエキスを使っていて、300種類以上の材料からこの味を造り出しているんだよ。

なので、きっと誰も真似できない。

これの素晴らしいところは、ピーナッツアレルギーの人でも楽しめるところだね!

Q. 次は”Hazers Gonna Haze”について教えて!


ごめん、今手元にないんだけど。まだ仕事もあるのでそんなに飲めないからさ(笑)。

3~5年前にHazy IPAブームがあって、その時に最初リリースしたのがHazers Gonna Hazeだね。

West Coast IPAとかに比べると、ドライすぎずに後味が良くスムーズでドリンカブルなビールだよね。

苦味が少ない分、ホップ由来のフルーティなトロピカル感がすごく感じられるんだ。

昔は「IBU=IPAのホッピー感」という感じだったけど、今はどれくらいスムーズにキレのあるビールを造れるかがすごく大事。

Hazers Gonna Hazeはホップにこだわっていて、Citra、Galaxy、Mosaic、Nelsonなどを使っているよ。

これは、僕らの3番目の人気ビールでもあるね。

Q. “No worries”はどう?


No Worriesだね。Phantom Brideもすごくよかったんだけど、もっとトロピカル感を抑えてドリンカブルなWest Coast IPAを造りたいと思ったんだ。

このビールのレシピは僕が考案したんだ。

No Worriesは、ダンク感のある松やシトラスのような味わいに焦点を当てて、その代わりにトロピカル感は抑えたんだ。

コラボビールじゃないから認知度はそこまでないけど、素晴らしいビールだよ。

アメリカではクラフトビールをスーパーに卸すことがビジネスの観点でとても重要視されているんだけど、

No Worriesがいつかスーパーで販売されることを願っているよ!

Q. ヘイジーブームが落ち着いてきて、今はWest Coast IPAが再ブームなの?


90年代の洋服が今クールになっているって感じかな?

ずっとクローゼットに眠っていた洋服も、今着てみればオシャレみたいな。

もちろんヘイジーは市場に残ると思うけど、どれも同じじゃないかって飲み飽きたような声も聞こえてくるよね。

いずれにせよ、サンディエゴにルーツをもつWest Coast IPAに誇りを持っている自分としては、盛り上がってくれるのは嬉しいトレンドだね!

Q. べルチンビーバーの今後予定は?


今は、たくさんあるクラフトブリュワリーの中では真ん中くらいの規模かな。

Modern TimesやCoronado、Karl Straussと同じあたりにいて、年間の醸造量だと40,000~60,000バレルくらいだね。

もっと上には、Stone BrewingやFirestone Walkerがいるよ。

今は、規模を大きくするよりも品質管理を徹底して美味しいビールを提供して、お客様の期待に応えたいと思ってるよ。

輸出もしているので、誰もが良い状態のビールを飲めるように投資していきたいなと考えてるんだ。

ここまで急成長してきて、これからももちろん成長はしたいけど、お客様満足は第一優先に置き続けるよ。

お客様のためにビールを造ることは、自分たちが飲みたいビールを造ることでもあるんだ。

Q. 日本限定のビールを企画してるんだって?


そうなんだよ。今、日本と僕らのコラボビールを考えているところなんだよ。

これから一緒にテーマを決めていくところなので、どんなビールになるのかお楽しみに!

Q. 先日横浜で行われた”International Beer Cup 2021”での数々の受賞、おめでとうございます!


すごく嬉しいよ!特に海外で受賞できるのはとても嬉しいことだね。

“Viva La Beaver”は僕らのビールの中でも賞の獲得回数が一番多いビールなんだよ。

あと、僕らの代表ビールの一つでもある”No Worries”で受賞できたこともとても光栄だよ!

Q. 最後に日本のファンにメッセージをお願いします!


日本の皆さん、いつもBelching Beaverを応援してくれてありがとう!

これからも僕たちがお届けするビールを気に入ってもらえたら嬉しいな!よろしく!

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