独学のホームブリュワーからの一大決心！立ち上げからわずか2年でGreat American Beer Festivalにて見事銀賞を受賞。

ユニークかつ独創的なスラーシー系や、高い醸造技術が必要なペイストリー系のスタイルを得意とし、テキサス州の小さな町で独自の進化を遂げるブリュワリーが903 Brewersです。

クラフトビール不毛の地で産声をあげた903 Brewers。

創業者のジェレミーとナタリーはともにテキサス州シャーマンで生まれ育ちました。

2人とも独学でホームブリューイングを覚え、様々なレシピに挑戦して試行錯誤を繰り返しながら技術を磨いていました。

当時シャーマンにブリュワリーは一軒もなく、「ビール」といえばミラーやバドワイザー、クアーズライトしか店頭に並んでいない状態。このクラフトビール不毛の地で、ジェレミーとナタリーは一大決心し2013年にブリュワリーを立ち上げました。

ブリュワリーを立ち上げてまず最初に仕込んだケグ2本分のビールは、二人がいつも通っていた地元のパブに卸しました。

その後は徐々に醸造量を増やしながら瓶詰めにも挑戦し、地元の酒屋やスーパーに売り込むようになります。

大きな転機となったのは2015年。彼らの定番ビールSasquatch Imperial Milk Stoutがアメリカで最も権威のあるビールコンペの一つ、Great American Beer Festivalで見事銀賞を獲得したのです。

ホームブリュワーあがりの2人がブリュワリーの立ち上げ後、僅か2年弱でこの名誉ある賞を受賞したというニュースは瞬く間に広がりました。すぐに大勢のビアギークがシャーマンの田舎町を訪れるようになり、地元の宿泊施設は完全にパンク。

その人気は衰えることを知らず、昨年も年間4万人以上が903 Brewersを訪問しています。

その後、名門ブリュワリーFort CollinsやAveryなどで修行を積んだ現ヘッドブリュワーのウィルソン・クックなど強力な助っ人が参入し、着実に醸造設備を大きくしていきました。

今では903 Brewersはテキサス州全域の酒屋やスーパーマーケットに並び、合計21の州に出荷をしています。

903 Brewersを代表するスタイル①「スラーシー」

903 Brewersを体現するといってもいいビールスタイルの一つはスラーシー系。

2018年にジェレミーとナタリーは当時では先駆けであるスラーシースタイルのビールをとあるビールフェスで飲む機会がありました。その斬新さと飲みやすさに感銘を受け、二人はブリュワリーに帰るとすぐに開発に取り掛かりました。

903 Brewersが作るスラーシーはベースのビールにフルーツピューレと乳糖を大量に投入することでユニークかつ独創的な味わいに仕上げています。甘いテイストの物から口を窄めてしまうほど酸味の強い物まで、色とりどりでバラエティーに富んだ903 Brewersのスラーシーはフルーツ系やサワービール系を不得意とする人でも親しみやすく、これまでSasquatchなどのスタウト系ビールを得意とする903 Brewersのイメージを一変させました。