Founders Brewing / ファウンダーズ ブリューイング

創業:1997年

拠点:ミシガン州 グランラピッズ

年間生産量:578,400バレル(約67,900キロリットル、2019年実績)

2人のホームブリュワー


マイク・スティーブンス(Mike Stevens)とデイブ・エンバース(Dave Engbers)。

大学で出会い友人となったこの2人には、「大のビール好きで熱心なホームブリュワー」という共通項がありました。


マイクをビールの魅力に気づかせたのはシエラネバダ ペールエール。「クラフトビール草創期に西海岸へ旅行に行く機会があって、Red HookやSierra Nevadaのビールを沢山飲んだよ。もともと自分で色々やるのが好きだったから、これは自分でもビールを造れるんじゃないかと考え始めたのがきっかけとなったのさ。」とマイクは語ります。

「ミシガン州のロックフォードという場所にホームブリューショップがあったから機材を一式そろえて、Charlie Papazianの本を隅々まで読みながら自分でビール造りを行った。そうしてビールにのめり込んでいったんだ。」


一方、デイブはホームブリュワーの兄から影響を受けてビール造りを始めました。ビールだけでなくワインやミードまで醸造していた兄。彼の造る酒を飲んで、自分自身でも機材を揃えて始めてみようという気持ちになり、デイブのビール人生が始まりました。


この共通の趣味で意気投合した彼ら2人は大学時代、「自分たちの愛することに人生を捧げたい」と常々考えていました。

「当時ミシガン州のカラマズーにブリュワリーがあったから、我々はグランドラピッズでブリュワリーを開こうと決めたんだ」とマイクは話します。

倒産の危機


しかし、愛することを行うからといって容易に事が進むとは限りません。


1994年から2、3年がかりで事業計画書を書き上げて、銀行に多大なローン融資を受けた後、1997年にオープンにこぎつけたファウンダーズでしたが、創業から最初の3年間は大変な苦労を伴いました。

1990年代半ばにクラフトビール業界で人気であったペールエール、アンバーエール、ウィートエール、ポーターの4種をラインナップとしていましたが、売上は散々な結果でした。

2000年には税金の支払いは滞り、銀行ローンは債務不履行の状態となり、いよいよ経営が立ち行かなくなっていました。

地主には「賃料を支払わないとドアにチェーンを掛けて締め出すぞ」と脅されたため、わざわざチェーンカッターを買って対抗するほどでした。

1週間以内に500,000ドルの借金をどうにかするよう最終通告を受けたころ、奇跡的に会社へ資金援助してくれる地元の投資家と出会うことができました。

その投資家は銀行ローンを工面してくれた上に醸造設備のある施設の賃料の援助まで行ってくれ、倒産寸前のところで救われたのでした。

"Brewed for us"精神


この悲惨な3年間を経験したマイクとデイブは、ある考えに至りました。


「今までのようなビール造りでこれだけの失敗をしてしまったのだから、どうせなら今後は自分達の飲みたいビールを醸造しよう」


そうして彼らはペールエール、アンバーエール、ウィートエールの定番ラインナップをすべてやめ、代わりにアルコール度数8.5%のスコッチエール「ダーティーバスタード(Dirty Bastard)」を醸造し始めました。


"Brewed for us"の精神が誕生した瞬間です。


スコッチエールは一般的にはあまり認知されておらず人気もそこまで高くないビアスタイルでした。

しかし強烈で複雑な味わいを持ったこのダーティーバスタードは、「本物の味わいを求める人に向けてビールを醸造する」という明確な「姿勢」が感じ取れるビールでした。

さらに素晴らしいことに、このスコッチエールは急激に人気となり、ブリュワリー躍進のきっかけとなったのです。

世界最高峰のブリュワリーへ


現在ファウンダーズは、数多あるアメリカのブリュワリーの中で生産量トップ14に位置します。(2019年実績)

有名なビールのレビューサイト"RateBeer"でも軒並み高評価を得ていて、2019年も世界のブリュワリーのトップ7にランクイン。

国内外のビール品評会でも数多くの受賞歴を誇る素晴らしいビールを造り続けています。


マイクとデイブが「自分たちのためのビールを造る」姿勢で生まれたビールたち。それらは今や、世界中の「本物の味わいを求める」人々が渇望するビールとなったのです。

Founders Fest


毎年6月にはブリュワリー主催のビアフェスティバル"Founders Fest"が開催されます。


"A Celebration of Beer and Music"と銘打たれたこのフェスは、ブリュワリーが面する通りを封鎖して行われる程大規模に執り行われます。

5,000人以上の人々がブリュワリーに集まって、ファウンダーズのビールと地元のフード、そしてミュージシャンの演奏を思い思いに楽しむのです。

演奏するミュージシャン・アーティストは、地元からだけでなくニューヨーク、デンバー、シカゴ、ロサンゼルス、カナダのトロントなど国内外から集まります。

ジャンルもクラシックロック、ブルース、R&B、サイケデリックロックといった様々な演奏を聴くことができます。

KBSのカルト的人気


「カルト的人気」と評されるビールはアメリカでもそう多くありませんが、その中でもとりわけ熱狂的に渇望されるビールの1つがKentucky Breakfast Stout、その名もKBSです。


チョコレートとコーヒーを投入した限定ビールのブレックファストスタウトをケンタッキーバーボン樽で1年間熟成させることで完成するこの逸品は、数多くのビアギークが喉から手が出るほどほしがる超限定品。

アメリカではリリース前日になると泊まり込みで店に並ぶ人々が現れるほどで、「事前に販売するチケットを手に入れることで1人につき1本~2本のみ購入可能」とルールを定める酒屋も。

万が一チケットを逃した場合は何時間もかけて酒屋を巡り、運が良ければ見つけられるといったような状況となります。


KBSが眠る場所は地下深く。

地上から85フィート(約25m)ほど潜った洞窟の中でこのスタウトは熟成されます。

もともとは石膏の採掘が行われていたカーヴ(洞窟)が使われなくなったものを、ファウンダーズが熟成庫として利用しているのです。

地下深くにあるこのエリアは自然とビール熟成に最適なセラー温度となっており、このカーヴで熟成させるという工程が、KBSに甘くナッティーな味わいと最高にスムースな口当たりをもたらすのです。


今でこそ樽熟成ビールはアメリカで人気が高まっていますが、KBSが初めて世に出た当時は、アメリカ国内ではそれほど注目されていないカテゴリでした。

2002年にドラフトのみで初リリース、翌2003年にはボトルパッケージでも限定リリースと10年以上前に誕生した樽熟成スタウトです。

ちなみに、最初のKBSはジャックダニエルに使用されていた2樽で熟成されました。

ケンタッキー州でもなければバーボン樽でもなかったのです。

その後すぐにレシピに変更を加え、現在の味わいになったといいます。

All Day IPAとアウトドアのつながり


現在ブリュワリーの全生産量の半分ほどを占めるAll Day IPA。

まだセッションIPAと呼ばれるカテゴリが無いころに誕生し、その先駆けとなった傑作ビールです。

名前の通り日がな一日飲み続けていられるセッションIPAは、ファウンダーズを語るうえで欠かせない存在です。


彼らはAll Day IPAを「味わい豊かながらアルコール度数が低く長く飲んでいられるビールにしよう」と考えていました。

なぜならば、このビールがアドベンチャーの最高のお供になると考えたからだ。


長いハイキングコースを制覇する。キャンプファイアで友人との楽しい一時を過ごす。雪山でスキーを楽しむ。カヤックに乗りながら自然を感じる。野外の音楽フェスティバルで好きなアーティストのステージに酔いしれる。


そのような人生の素晴らしい瞬間に、緑色のAll Day IPA缶をプシュっと開けて飲む。

こうして、人生の豊かな時間を彩ってくれるビールがAll Day IPAなのです。

タップルーム

Grand Rapids (ミシガン州 グランドラピッズ)

Detroit (ミシガン州 デトロイト)

取り扱い商品

All Day IPA / オールデイIPA

Session IPA / 4.7% / 355ml


セッションIPAの先駆けにしてチャンピオンたる存在で、ブリュワリーの売上の約半分を占める大定番。バランスが取れていながら香り豊かなこのビールは、名前の通り日がな一日飲み続けていられる最高傑作。


Centennial IPA / センテニアルIPA  

IPA / 7.2% / 355ml


ブリュワリーの定番IPA。苦み・ホップアロマ・モルトボディーのバランスが抜群な、本物の“ミッドウエスト・スタイルIPA”。味わいはクラシックなグレープフルーツの皮の味わいに松の苦みが口中を刺激する。


KBS Maple Mackinac Fudge / KBS メープル マキノー ファッジュ  

Barrel-aged Imperial Stout / 11.0% / 355ml


Mackinac Fudge味のコーヒーを使用することでKBSの持つ濃厚なチョコレート風味を増大させ、そこにさらにメープルシロップをプラス。仕上げはオークバーボン樽で熟成させることにより、独自の味わいが誕生。