Sierra Nevada Brewing Co. / シエラネバダブリューイング特集

シエラネバダ

1979年、北カリフォルニア・サンフランシスコから北東に約220km、シエラネバダ山脈の麓にひっそりとたたずむ学園都市チコ(Chico)でケン・グロスマンは小さなブリュワリー作りを始めた。
目標は素晴らしい味わいのエールやラガーを醸造することだった。
今日、Sierra Nevadaはアメリカのクラフトブリュワリーの筆頭である。
批評家は、彼らの造るビールを「世界中のあらゆるビールと比べても最高品質の部類に入る」と絶賛する。

草創期

彼がビールに対する情熱を持つきっかけとなったのは、1970年代前半、友人の父親に自家醸造の基礎を教えてもらったことだった。お手製の機材を使って5ガロン(約19L)分のビールを自分で醸造し始め、すぐに自家醸造の熟練者となった。
チコにあるビュートコミュニティーカレッジで化学を、カリフォルニア州立大学で物理学を専攻したのち、1976年に「The Home Brew Shop」という自分の店をチコの街のダウンタウンにオープンした。そこではチコにいる自家醸造家たちに機材、材料やアドバイスを提供した。しかしながら、彼が夢見ていたのは自分自身のブリュワリーを開くことであった。
2年後の1978年、彼は酪農用タンクやソフトドリンクの瓶詰め設備、廃業したブリュワリーの機材をかき集めてブリュワリーを組み立てたのである。設備は中古品ながら、一級品のマイクロブリュワリーであった。原料は最高品質のものが使われ、それは後にブリュワリーのトレードマークとなる大量のホップに関しても例外ではなかった。熱心なバックパッカーであった彼は、新しい会社を自分の好きなハイキングスポットであったシエラネバダ山脈にちなんでSierra Nevadaと名付けた。

伝説の始まり

ロナルド・レーガンが大統領に就任した年である1980年。10度に渡ってビールを廃棄するという試行錯誤を経て、11月15日、Sierra Nevadaは、アメリカンクラフトビール史上に残るビールを醸造した。
Sierra Nevada Pale Ale(シエラネバダ ペールエール)である。
噂はすぐさま広がった。それからの10年間で、ブリュワリーの決して高くはない生産能力ではすぐに需要に応えきれなくなったのである。絶えず設備の追加をしていたのだが、間もなくして一から練り直そうと新たなブリュワリーの計画を立てた。

驚異的な成長

1982年12月、機材探しの旅に友人と一緒にドイツへと赴いた彼は、中古で古めかしい100バレルサイズの銅製ブリュワリー施設を手に入れ、新たなブリュワリーの心臓部とした。それでしばらくは需要に応えられたのだが、またすぐにブリュワリーの拡張が必要になった。
そして1989年、20th Streetにある現在の場所に拡大移転した。
1993年には年間醸造量が100,000バレルに達したが、それでもまだ需要は増え続ける一方であった。1997年、さらに大きな新醸造設備を注文し、退職していた銅工を説得して新しい醸造釜を元々あった釜に合うように調整してもらった。この拡張によって、ブリュワリーの生産能力は年に800,000バレル以上に成長した。「ブリュワリーの中のブリュワリー」としてR&Dや新しいレシピを試すといった研究開発等を行う「Pilot Brewery」という10バレルサイズの醸造施設も建設した。
ブリュワリーに併設されているレストランでは素晴らしい料理、受賞経験のあるビールを売りにしており、レストラン目当てでブリュワリーを訪れる人も多い。また、350席を誇る美しいライヴ音楽会場「Big Room」も併設している。

飽くなきこだわり

決して現状に満足することがないことでも有名であり、業界の巨人となった今でも、どのビールも全て同じ香りや味わいとなるように品質の維持を追求し続け、いつどこで飲んでも同じ味を楽しめることにこだわっている。
品質へのこだわりの象徴として、ブリュワリーから出荷後、倉庫への到着まで数時間以上かかる場合は完全冷蔵輸送を行い、到着後ももちろん冷蔵保管を徹底させている。
「Fresh From The Brewery」をモットーに現地のブリュワリーから飲む直前まで、100%完全低温冷蔵輸送で徹底した品質管理を行っているナガノトレーディングだからこそ、今回日本への正式輸入が実現した。

業界の船頭として

Sierra Nevadaは彼らが現在まで培ってきた知識の共有に寛大であることでも有名だ。
その一環として2008年より究極のビール醸造体験「Beer Camp」がチコのブリュワリーにて開催されている。
これまでに100回以上開催されており、ブリュワリーにレストランやバーのオーナー、セールスマン、シェフなど様々な人を招待し、ブリュワリー内部はもちろん、セラーやホップ貯蔵室といったブリュワリー施設の奥深くまで立ち入り、ビールについて見て、触って、体験する実践形式でより深く知ってもらう2日間のキャンプ方式で行われる。
毎回参加者全員で考えたビールが醸造されており、毎年ブリュワリーの限定商品としてリリースされているインペリアルIPA「Hoptimum」は2010年のBeer Camp #19参加者達によって造り出された。
2011年までは完全招待制となっていたが、同年より「Beer Camp Contest」と題して一般の人々もコンテストで勝ち上がることができれば参加出来るようになった。
時を同じくしてBeer Campを通じて造り出された4種類のビールが楽しめるミックスパックを発売、翌年以降も形態を変えながら毎年リリースされている。

新たな時代の幕開け

ブリュワリー設立30周年を目前に控えた2009年、それまでずっとPale Ale、Stout、Porterの3種類のみだった定番ラインナップに新たにTorpedo Extra IPA、Kellerweisが加わった。
その後、Pale AleとTorpedo Extra IPAの缶での流通も開始し、2013年にはカリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリア内の学園都市、バークレーに直営ビアバー「Sierra Nevada Torpedo Room」がオープン。コンセプトはクラフトビールの科学的側面や味わい、そしてカルチャーなどの要素を全てつなぎ合わせたショールーム。16種類の新鮮なドラフトビールが常時楽しめ、ただビールが飲めるだけではなく、クラフトビールに関する教育や新たな発見のための空間でもある。そうしたコンセプトに基づいて、ビールは全てテイスティングサイズのグラスで提供されている。
2012年、東海岸のロケーションとしてアメリカ南東部ノースカロライナ州アッシュビルから南に約20kmの場所に位置する、ミルズリバー(Mills River)に新ブリュワリーの建設を発表。
そして2014年夏、新ブリュワリーの完成を記念し、Beer Campより派生したイベントとして西はカリフォルニア州チコ、東はメイン州ポートランドまで、全米7都市をツアー形式で横断するビアフェス「Beer Camp Across America」が開催。
ブリュワリーの本拠地カリフォルニア州チコよりスタートし、クラフトビールの聖地サンディエゴ、ビールの年間生産量全米第一位を誇るコロラド州デンバー、イリノイ州シカゴ、メイン州ポートランド、ペンシルベニア州フィラデルフィアを経て最終目的地ノースカロライナ州ミルズリバーの新ブリュワリーのお披露目へと辿り着く行程で、12の素晴らしいブリュワリーとコラボレーションし、12種類の素晴らしいビールを造り上げた「Beer Camp Across America Mixed Pack」も同時発売された。その中の一つであるBallast Pointとのコラボレーション「Electric Ray」は2015年の季節限定商品「Beer Camp Hoppy Lager」の基となった。
同年秋には新ブリュワリーがついに稼働を開始。
合計敷地面積は194エーカー(0.745平方キロメートル)で、併設のタップルームとレストランも備える。稼働開始段階では年間最大350,000バレルの醸造が可能だが、需要に応じて更に増やす事が出来るように設計されている。東海岸の拠点が完成したことで、より早くフレッシュなビールを東海岸の消費者の元まで届けることが可能となった。
その勢いはとどまるところを知らず、それまでPale Ale、Torpedo Extra IPA、Kellerweis、Porter、Stoutの5種類だった定番商品に2015年よりHop Hunter IPA、Nooner Pilsnerが加わった。Hop Hunter IPAは業界初の「ウェット・ホップを使用した通年販売のIPA」であり、創業から30年以上にわたり常に業界をリードしてきたSierra Nevada は、これからも変わらずクラフトビールシーンを牽引し続ける。

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