Denver Beer Company / デンバー ビール カンパニー

創業:2011年

拠点:コロラド州 デンバー(Denver, Colorado

アメリカでも有数の大都市、コロラド州デンバー。標高1マイル(約1,609m)の位置にあることからマイル・ハイ・シティ(Mile-High City)という愛称でも呼ばれるこの街には、2020年度時点で400を超える数のクラフトブリュワリーがひしめいており、まさにクラフトビールの聖地として発展を続けています。また、車で少し行けば、ロッキー山脈やその麓に広がる森林があり、アウトドアレジャー好きにも非常に魅力的な土地です。


そんなデンバーに2011年8月に誕生したのがDenver Beer Companyです。

生粋のコロラド人であるチャーリー・バーガー(Charlie Berger)と、元ロッキード・マーティンの天才的エンジニアだったパトリック・クロフォード(Patrick Crawford)の二人により創立されたブリュワリーは、2012年当初は年間生産量1,200バレル(約140㎘)と、アメリカでは実に小規模なものでしたが、創業からわずか3年で別の土地に新たな醸造設備やカニングラインを備えた拠点”Canworks”を170万ドルかけて設立、さらに3年後にもう一か所、2018年には生産量は1万6千バレルにまで増えるという、目覚ましい急成長を成し遂げます。現在はCanworksと3ヶ所の醸造所併設タップルームの計4ヶ所の拠点を運営しています。

使用する穀物の95%がコロラド産、残りはドイツ・カナダ・イギリス産モルトを使い分け、水は地元を流れるプラット(Platte)川から、ホップは毎年秋に収穫されるフレッシュなコロラド産のものも使用するなど、地元の産物をふんだんに採り入れつつ、様々なスタイルのビール造りに最高級かつ最適な原料を選んでいます。


そんなこだわりと共に生み出され、GABF(Great American Beer Festival)やUSOBC(U.S. Open Beer Championship)、World Beer Cupなど世界的なビール品評会で数多くの賞を獲得しているDenverのビールは、かつてはコロラド州外では流通しておらず、完全に地元住民だけの特権でした。


しかし、マイケル・ハンコック市長とデンバー経済開発課(Office of Economic Development, OED)によるデンバー対日輸出促進プログラムの公式代表団への参加により、この方針に変化が生じます。

「デンバー産の優れた製品やサービスを世界中の人々と共有したい」というハンコック市長の理念の下計画は進められました。彼曰く「全米一」であるデンバーのクラフトビールがプログラムの対象の一つに選ばれたのは当然の成り行きと言えます。


これを「自分たちのビールのユニークなフレーバーと品質を国際的な舞台で紹介する絶好の機会」と捉えたDenver Beerはプログラム加入第一号企業として参加、2015年7月にDenverのビールが初めて日本に出荷されました。ナガノトレーディングのコールドチェーン方式がDenverが海外への輸出を決意する決め手となりました。


こうして、アメリカの他の州に出回るよりも先に、日本がコロラド州外でのDenver Beer販売第一号となりました。現在も変わらずアメリカ国内ではコロラド州内でしか買うことができません。


ちなみに、デンバーは岐阜県高山市と姉妹都市提携をしており、プログラム代表団は高山市を訪問しています。

他のブリュワリーがそうであるように、Denver Beerも環境への配慮を重視しています。


「Committed to Colorado’s Future」をモットーに、醸造に使用される温水のリサイクルや、使用エネルギーの100%を太陽光で発電、使用済みの麦芽やホップ等の醸造残渣を農家へ寄付するといった行動に加え、可能な限り原材料は地元産を使用すること、廃材を利用しタップルームのインテリアを作るなど、地球への負荷を減らす試みに積極的に取り組んでいます。


プラット通りのタップルームでは水を使用しない小便器を設置することで、年間何千ガロンもの水を節約している他、お客様に自動車ではなく自転車で来てもらえるよう、自転車道の近くにブリュワリーを構えるという徹底ぶりです。

ビールを醸造する際、アルコール発酵の副産物として大量の二酸化炭素が生成されます。ご存じの通り、地球温暖化の大きな要因の一つであり、Denver Beerに限らず、ブリュワリーはこの二酸化炭素ガスを放出するばかりでした。


しかし、DenverはEarthy Labsという企業と協力し、発生する二酸化炭素を効率良く回収・再利用することに成功しました。


回収された二酸化炭素ガスは、ビールのカーボネーション(炭酸ガスを溶け込ませ適度な発泡性をもたせること)や、缶やボトル、樽への充填など、従来は業者から購入したガスを使って行っていた作業に再利用される他、コロラド州では合法であり大きな産業である大麻草の

栽培と販売を行う企業への販売も行っています。回収ガスを使用した場合でも何の問題もなく生育したそうです。


環境問題に対する有効な手段であると同時に、これまで「廃棄物」だった二酸化炭素ガスは立派な「商品」に変えられることを証明したのです。

ビールはコロラド州内と日本でしか手に入りませんが、Denver Beerの目はビールを楽しむ人々を通して常に世界に向けられています。デンバーを代表する企業の一つとしての誇りと責任感をもち、地元を愛し護ることが、ひいては世界全体をより良くしていくことを、Denver Beerは理解しています。


Denverの情熱と理念は、その素晴らしいビールを介して必ずや飲み手に伝わり、やがては地球をぐるりと巡る一つの輪となるでしょう。

タップルーム

Platte Street


Olde Town Arvada


Downing Street


Canworks

共同創業者のPatric Crawford(左)とCharlie Berger(右)

中央は敏腕営業(Sales Ninja)のNick Swingler。

コラボレーションビール醸造のため、埼玉県のコエドブルワリーに招待され来日した際に撮影。

ナガノトレーディングスタッフがブリュワリーを訪問した際に撮影。

取り扱い商品

Incredible Pedal / インクレディブルペダル

American IPA / 7.0% / 355ml


青々としたフローラルな香りや、驚くほどのシトラス、トロピカルフルーツの香り。

口に含むとしっかりとした苦みと同時にモルト由来のほんのりとした甘みが感じられ、他にもレモングラス、パッションフルーツ、マンゴーの味わいが口に広がる。

Juicy Freak / ジューシーフリーク

Juicy IPA / 6.5% / 355ml


フレーク状のオーツ麦と小麦を使用し、さらに少量のオレンジ果汁を加えて醸造されている。

苦みは最小限に抑えられており、爽やかなシトラス感と、とびきりジューシーな仕上がりが絶品。

"U.S. Open Beer Championship 2021"
Australian Style Pale Ale部門 銅賞受賞

Lemon Hibiscus Fizz / レモン ハイビスカス フィズ

Hard Seltzer / 5.0% / 355ml


「低カロリー低カーボで健康的」とアメリカで大流行し、現在日本でも認知度が増しつつあるハードセルツァー。ハードセルツァーとはフルーツなどで風味を付けた炭酸水に醸造アルコールを加えたもの。

レモンとハイビスカスを添えたフィズのような、濃厚かつすっきりなトロピカルフレーバー。